食べることは暮らすこと。食ぐらし

食べることは暮らすこと。食ぐらし

vol.04

旬を食べよう

野菜も魚も自然物

野菜も魚も自然物スーパーや八百屋で、奥さまたちが血眼になって見ているのが、野菜や魚の品質ではなく、その上に貼られている値段。「大きくて安いわ~♪ 私、買い物上手」とルンルンな方が大勢いらっしゃいます。「ちょっと待ってよ、そこの奥さん」と声をかけたくなります。真夏にほうれん草を買い、真冬に茄子を買う。声でもかけようものなら「真冬に茄子買って何が悪いの? だって今夜はマーボ茄子って決めているのよ、うちは。」と逆に怒られそうな気配。これは特異な話ではなく、ごくごく一般的なこと。だけど、いやほんとにちょっと待ってください。食べ物には"旬"がある。なんてったって野菜も魚も自然物ですから。

同じ野菜は実は一年中はない

奥さまが言うのも無理はありません。スーパーに行くと、一年中同じ種類の野菜が並んでいます。夏にほうれん草、冬に茄子も当たり前。

でも、立ち止まって冷静に考えると、野菜にも魚にも旬があります。昨今、ビニルハウスという優れものが、温室育ちの野菜を一年中作ってくれます。また、土のいらない水耕栽培が流行っています。果ては、遺伝子組み換え作物や魚が年中育ちます。これはもう自然物ではなく工業製品。メーカーの立場やビジネスという視点では正論かもしれません。

しかし、人が営みをする上で、食べるという行為の対象となるエネルギーの源泉が、それで良いはずがありません。大事にしたいのは、露地栽培の旬であり、近海魚の旬です。

旬の野菜や魚は人にとって大切なものです。春野菜の苦みは、人に目覚めを起こし、身体に溜まった不要なものを出してくれます。冬野菜は冬の寒さに向かう身体に滋養を貯めてくれます。もちろん身体にも良いのですが、それだけではありません。

季節を知り、本物の味を知る

トマトは夏の野菜のように思えますが、本当の旬は2~3月。原産地は南米アンデス山岳地帯。そこは乾燥した寒冷地です。高温多湿の日本の夏は実は苦手。今では作られた種やハウスのおかげで年中トマトはありますが、アンデス高原に近い産地の日本トマトを探すのも、野菜を食べる楽しみのひとつ。そう思って探すと、これは!と思えるトマトに会えるかもしれません。

ナスはインド、ズッキーニはアメリカ南部と、多くの野菜の原産地は外国。日本は四季があるために、様々な温度があります。そして、同様に様々な土壌もあります。世界中の野菜がぴったりとハマる日本の温度と土地があり、そこに外国産の野菜が根付くのは面白くもあり、ロマンでもあります。温度と土地の妙が作る野菜の面白さ。

これは魚にも言えることです。自然の産物のルーツに想いを馳せつつも日本のどこでいつ穫れるのかを知ることも、ちょっとした食卓のファンタジーでもあります。

さあ、カラダとココロの栄養"旬"を今日も楽しみましょう。

記事一覧へ戻る

食のぐるり株式会社
代表取締役

高原 純一

企業のマーケティング・コンサルティング、プロジェクト・ディレクションを基盤に講演、執筆業務を営む。
傍ら、消費者と農業・漁業生産者の目線から、食卓と暮らしのしあわせづくりにも取り組んでいる。

ホームページ
http://shokuguru.com
Facebookページ
https://www.facebook.com/shokuguru