食べることは暮らすこと。食ぐらし

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vol.05

乾杯!日本酒

酒は百薬の長

酒は百薬の長食べることと、飲むことに目がない私。特に日本酒は、味といい奥深さといい、日本人に生まれて良かったと心底思える飲み物です。

酒飲みに嬉しい格言「酒は百薬の長」は、中国の歴史書「漢書」に書かれた言葉として有名です。この言葉は、もともと塩や酒、鉄と当時専売化された租税源を謳ったもので、全文が意味するところは「塩は食物の最も肝心なもの。酒は多くの薬の中で最も優れ、めでたい集まりでたしなむよきもの。鉄は農耕の基本となるもの。」、国として租税をとらんがため、推進するPRコピーのようにもとれる言葉です。

しかし、なぜか塩と鉄はどこかへ去り、「酒は百薬の長」だけが今の時代まで受け継がれました。

日本酒で身体の健康

「漢書」にまで書かれ、今日まで語り継がれる酒の「百薬」ですが、まず飲み過ぎは禁物。また、体質的に合わない方は、飲酒されない方が良いです。百薬どころか百毒になりかねないためです。

しかし、体質的に合い、飲み過ぎない限り、酒は漢書が伝えるところの百薬の長。一番の特徴は、"アミノ酸"が豊富な点。とりわけ食物からしか摂取できない必須アミノ酸が、酒にバランス良く含まれているところは注目です。仕事で疲れた身体と心を、一杯の日本酒が心底解きほぐしてくれたご経験は、誰しもがお持ちなのではないでしょうか? アミノ酸入りスポーツ飲料が疲労回復にもてはやされる昨今、日本酒にも同じ効果があるはずです。日本酒にはアミノ酸効果以外にも、抗がん作用や善玉菌増加作用、ストレス解消作用等を伴うという具体的な検証結果が、学会や企業・団体から発表されています。書籍やインターネットで気軽にご確認できますので、お酒好きの方は探してみられてはいかがでしょう。

日本酒で心の健康
旬を味わう程度にしておこう。

中国における漢詩のごとく、西欧でも古代ギリシャの医学者ヒポクラテスが、ワインのことを「最も有益な薬」と讃えています。そのように酒の歴史は世界的に古く、日本でも各地に伝わる祭礼記などに、神様に祭りの時に捧げられたお神酒(みき)のことが記されています。古来より飲まれ語られて来た酒は、文化そのもの。

先頃、「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、料理論に関する話題ばかりを目にします。しかし、ユネスコに登録された正式名称は「和食—日本人の伝統的な食文化—正月を例として」です。この正式名称は、大新聞などでもきちんと紹介されることが少ないのが現状ですが、正月におけるお屠蘇(とそ)の由来などを理解しながら、日本食がある正月を語り行い続けること、それこそが文化遺産だとユネスコは伝えてくれているのではないでしょうか。

漢書にも書かれた「めでたい集まりでたしなむよきもの。」にも、通じることかと思われます。それはまさに心の健康です。日本酒で和食を頂きながら、身体も心も健康になる。やはり日本人に生まれて良かったと思える瞬間です。

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食のぐるり株式会社
代表取締役

高原 純一

企業のマーケティング・コンサルティング、プロジェクト・ディレクションを基盤に講演、執筆業務を営む。
傍ら、消費者と農業・漁業生産者の目線から、食卓と暮らしのしあわせづくりにも取り組んでいる。

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